需要増勢が続く中で原油生産が減少すれば、原油や石油製品を海外に求める量は一段と増える。 米原油生産の8%が減少するアラスカ油田の事故に、アジアや欧州の石油市場も敏感に反応したのも当然といえる。
地政学リスクが高まる背景にも、米国が中東などで安定供給を確保しようとし、産油国や中国など新興の石油需要国と利害が衝突していることがある。 中国もK国家主席自らがアフリカをはじめとする産油各国を回って連携を強めるなど資源確保に躍起だ。
また中東やアフリカ、中南米の産油国では価格高で経済力が強まり、資源ナショナリズムも台頭する。 確かに足元の原油供給は十分に足りているが、日量8千万バレルを超す世界の石油需要に対し供給余力が1〜2%にすぎない「綱渡り」状況に変化はない。
供給減少や価格高騰に備えるため米国や中国などが石油備蓄の強化に動けば、世界需要が上プレする可能性もある。 もう1つ原油価格を着実に押し上げているのが、欧米年金マネーの流入だ。
米G商品指数(GSCI)やダウジョーンズ(DJ)・AIG商品指数などに連動して運用する資産残高は過去2年で5倍に膨らみ、8百億ドル(9兆円)を超す。 インフレ率が高まった場合に株や債券が値下がりするのと対照的に、原油などの商品は値上がりする傾向が強く、分散投資の効果が期待できるためだ。
現在は動きの速い年金が資産の3〜5%前後をシフトした段階だが、原油価格の上昇が金融市場でインフレ懸念を強め、株や債券からの資金シフトをさらに加速する可能性はある。 S商事コモディティビジネス部のS調査・戦略チーム長は、商品指数連動運用を中心にした長期の投資マネーが20ドル程度、需要実勢より原油価格を押し上げているとみる。
06年末に年金マネーの商品市場への投資残高が14〜15兆円に膨らんでも、2千兆円近いともいわれる世界の年金資産の規模からいえば1%にも満たない。 5%の比率を目指して投資を増やしただけで株や債券市場からみれば市場規模の小さな商品市場へのインパクトは大きい。

そこに資源争奪戦と地政学リスクの増大が絡めば一段の高値は避けられない。 商品には、価格上昇が続けば供給が増え、高値によって需要の伸びも抑えられる市場メカニズムが働くため、値上がりは永遠には続かない。
問題は市場メカニズムがいつ効き始めるかだ。

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